総量規制の仕組みとは|カードローンでの借りすぎを防ぐ!
カードローンやクレジットカードを利用する際、切っても切れないのが「総量規制」です。ここでは、キャッシングの利用限度額にも関係する「総量規制の仕組み」について、詳しく説明しましょう。
目次
総量規制は「借り過ぎ」を防いでくれる
銀行カードローンは総量規制の対象外!
総量規制とは、貸金業法の中に含まれる条項の一部です。総量規制では「年収の3分の1以上」の融資ができないよう、制限を設けています。
総量規制が適用されるのは、クレジットカードのキャッシングと、消費者金融と信販会社のキャッシング利用分です。
総量規制の対象になる貸付
- クレジットカードのキャッシング
- 信販会社のキャッシング
- 消費者金融のキャッシング
同様に、銀行カードローンでもキャッシングが利用できますが、銀行カードローンは総量規制の対象外となっています。
クレジットカードのキャッシング、信販会社、消費者金融のローンは「貸金業法」の対象となり、総量規制が適用されます。しかし、銀行は貸金業法では無く「銀行法」が適用されます。
銀行法には、総量規制が無く、原則「年収による借入規制」がありません。なお、銀行カードローンは総量規制の対象外となっていますが、いくらでも借入できるということではありません。多くの場合は、収入と借入希望額のバランスを加味して、無理のない範囲の金額での融資となるでしょう。
キャッシングで適用される法律
ローンの区分 | 適用される法律 |
---|---|
クレジットカードのキャッシング | 総量規制(貸金業法) |
クレジットカードのショッピング | 割賦販売法 |
消費者金融ローンのキャッシング | 総量規制(貸金業法) |
信販会社ローンのキャッシング | 総量規制(貸金業法) |
銀行カードローンのキャッシング | 銀行法 |
このように、同じように見えるキャッシングでも、適用される法律が変われば、受ける規制内容も異なっています。
借りすぎると、どうなるの?
総量規制は「借りすぎ」を防ぐためのルールです。このため、クレジットカードやカードローンで「年収の3分の1以上」キャッシングをしてしまうと、直ちに「カード枠の減額」が実施されます。
例えば、年収300万円の方が「他社との合計100万円」以上の借入があると、利用カードのいずれかで「利用可能枠の引き下げ」が行われます(例:可能枠が100万円から80万円になる等)。
また、他社とのキャッシング利用件数が「3件」以上になると、新たな融資を停止する金融機関や利用枠を引き下げるローン会社が大半を占めます。キャッシングを利用する際は「利用額」だけでなく「利用件数」にも気をつけましょう。
総量規制外の貸付は間違えられやすいので注意!
銀行カードローン以外の総量規制外の貸付について
銀行カードローンが「総量規制外」になることは、既に前項で説明をしました。ここからは銀行カードローン以外の間違えられやすい・総量規制外融資について、説明しましょう。以下は「総量規制外の貸付」を表にしたものです。
総量規制外の貸付一覧
自動車ローン | 住宅ローン | 教育ローン |
有価証券の担保貸付 | 手形 | 高額医療費の貸付 |
個人事業者向けローン | おまとめローン・借り換えローン | 配偶者と合算した、年収3分の1以下の融資 |
各種「つなぎ資金」の融資 | 行政などの支援する、生活再建に関する融資 | – |
キャッシング申し込みの際「他社での融資」を申告する欄があります。ここでは、総量規制の対象になる金額・件数のみ記入しましょう。
銀行カードローンをはじめとした借入のほか、自動車ローンや教育ローンなど(本項目で取り上げた)総量規制外のローンについては、申告する必要はありません。
総量規制ができた理由は、過去の「多重債務者増加」がキッカケ
総量規制を含む「改正貸金業法」が完全施行されたのは、2010年6月18日のことです(法律が成立したのは、2006年12月)。総量規制が施行される前は、収入につり合わない、無理な貸付や借入が横行していました。
また、総量規制施行以前は、貸付の利息も高く「20%〜30%」という、今では考えられない程「高利」で貸付が行われてたのです…。この結果、国内には多額の負債を抱えた「多重債務者」が急激に増加しました。
こうした問題を解決すべく、成立したのが(総量規制を含む)改正貸金業法です。
皆、貸金業法と呼んでいますが、現行の法律は「改正貸金業法」と言います。実は、貸金業法自体は、2006年12月以前の「昭和58年5月13日」から、既に存在していました。
初期の貸金業法は、正式名称を「貸金業の規制等に関する法律」と言い、略称として「貸金業法」と呼ばれるようになりました。
もとの貸金業法は、貸金業者の健全な運営を目的とした、団体の設立(日本貸金業協会)のほか、貸金業者の事業者登録や業務のルールなどが盛り込まれていました。その後、平成15年に闇金業などの取り締まりを目的とした通称「ヤミ金融対策法」が成立しました。
今回取り上げている「改正貸金業法」は、グレーゾーン金利の廃止、年収に応じた貸付のルールなど、細かな部分まで「利用者が多重債務に陥らない」制度へと(法の内容が)改正されています。
総量規制における「年収の3分の1」の計算方法
計算には税金は含めない!総支給額で計算
総量規制は、手取り年収で計算しないでください。総量規制は、年収の「総支給額」で計算を行います。例えば、賞与(ボーナス)を含めた、総支給額が450万円なら、総量規制のリミットは「150万円」に設定されます。
同様に年収(総支給額)が600万円なら、最高200万円までは、融資が実施可能です。総量規制のシミュレーションは必ず(税金などを含めない)総支給額で計算を行ってください。
源泉徴収票や、給与明細を無くしたら?
源泉徴収票や給与明細書は、薄い紙なので、常に「紛失する恐れ」があります。無くしてしまった場合は、速やかに会社に届け出をして、源泉徴収票や給与明細の再発行をお願いしましょう。どの会社やアルバイト先でも、必ず再発行してくれるはずです。
また、退職した会社に「再発行」を届け出る場合も、来社できない場合は、電話や郵送で、お願いをしてみてください。
年収が減ると「総量規制」にも影響する
会社の業績悪化や役職の変化、転職などで「年収が減る」のは、珍しいことではありません。あまり大きな声では言えませんが「年収が減った」ことは、増枠や新しいカード契約をする場合を除いて(カード会社に)だまっておいた方が良いでしょう…。
もちろん、増枠を申請する場合は、源泉徴収票等の提出で、所得が減ったことは分かってしまいます。しかし、増枠や新規カードの発行をしない限り「年収が増えるまで」黙っておいても、大きな問題にはなりません。
最も避けたいのは「年収が減ったこと」を無理に申請し、利用枠の減額や利用制限が掛けられることです。ローン利用途中の「年収の申告」は、タイミングをよく見てから、申請するようにしましょう。
他社で借入があると、借入可能枠が少なくなる
「借入可能額」は、年収だけでなく「他社でのキャッシング借入分」を相殺する必要があります。例えば年収450万円で、他社での借入が100万円あった場合、借入可能額は『150万円 − 100万円=50万円』となります。
また、他社での借入件数が3件、4件以上あると「多重債務に陥るのでは?」と判断され、融資を受けられる可能性は少なくなります(審査に通りにくくなる)。借入金額を減らすだけでなく、他社での借入件数は、努めて減らすようにしましょう。
まとめ:総量規制を守れば、キャッシングはいつでも安全!
このように、総量規制のルールを守れば「キャッシングは安全な融資」方法です。急な出費が続いた時には、低金利ローンでキャッシングを利用してみてください。