銀行系カードローンで保証会社が審査を行う理由と役割を解説
大手都市銀行から、地銀や信金に至るまで、すべての銀行系カードローンで保証会社による審査が行われます。
保証会社は銀行傘下の消費者金融や提携する信販会社などが務め、銀行はそのノウハウを生かして個人向け融資を行っています。
目次
銀行カードローンの審査は保証会社が行うのが当たり前!それはなぜ!?
独自審査を行わない銀行系カードローン!なんで保証会社を通すの?
銀行系カードローンの説明には、必ず「保証会社の保証を受けられる方」という文言が含まれています。一度でも銀行系カードローンへ申し込んだことのある人ならよくご存知かもしれませんね。
保証会社の保証=保証会社の審査
この「保証会社の保証」というのは、言い換えれば「保証会社の審査」という意味となります。つまり、「保証会社の審査に通過しなければ保証は受けられない=融資不可」という意味になります。
銀行系カードローンで独自審査が行われない理由は?
消費者金融系カードローンでも信販系カードローンでも、保証会社を通した審査というのは行われていません。保証会社を通すのはあくまでも銀行系カードローンだけに限られています。
では、なぜ銀行系カードローンでだけ保証会社を通した審査が行われているのでしょうか? その理由について以下に説明していきます。
「事業性融資=銀行」・「個人向融資=貸金業者」
一昔前まで、銀行は事業性融資を積極的に行っていました。現在のようなフリーローンやカードローンのような無担保&無保証人の個人向け融資にはどちらかというと消極姿勢だったのです。
自動車ローンや住宅ローンなどのような目的別ローンは扱っていましたが、それ以外の個人向け融資に関しては消費者金融などの貸金業者がメインだったのです。そうした区分が明確に決められていたわけではありませんが、「銀行=事業性融資」・「貸金業者=個人向け融資」という役割分担が自然に出来上がっていたわけですね。
ある日を境に崩れた役割分担
しかし、そんな役割分担が崩れ去る”事件”が発生します。それが、貸金業法の改正と、グレーゾーン金利撤廃でした。これにともない、貸金業者の経営が著しく悪化してしまったのです。倒産する業者も続出し、倒産を免れた消費者金融も銀行の傘下に入ることで何とか生き残りを図りました。
特に貸金業者を苦しめたのがグレーゾーン金利の撤廃です。
堰を切ったように過払い金請求が行われた結果、業界最大手と言われた某消費者金融までもが倒産に追い込まれたのも記憶に新しいところですよね。
グレーゾーン金利とは?
現在でこそ、貸出金利は利息制限法に準じて、年率15%~20%で定められていますが、以前まで貸金業者の多くが出資法で定められている年率29.2%を上限に貸し出しを行っていました。
利息制限法では上限である20.0%を超えた金利設定でも罰する法律がなく、逆に出資法では上限である29.2%を超えると罰則が適用されました。つまり、貸金業者としては、出資法で定められた29.2%さえ超えなければ、自由に金利設定できる環境だったわけです。
この、利息制限法上限の20.0%~出資法上限の29.2%の間の金利のことを、「グレーゾーン金利(違法なのに罰せられない範囲の金利)」と呼んでいたのです。
罰則がないとはいえ違法なことには変わりがないため、これを改めるために平成22年に出資法の上限金利を利息制限法の上限金利に合わせる形で引き下げが行われたのです。さらに、これまで利息制限法の上限金利を超えても罰則がありませんでしたが、貸金業法の改正によって罰則規定も設けられるに至り、これをもってグレーゾーン金利が撤廃されたのです。
過払い金請求とは?
グレーゾーン金利が違法であるとはっきり示されたことで、これまで払い過ぎた利息を取り戻す動きが活発になりました。本来の上限金利である20.0%を超えた金利で借入をしていた人は、その差額分を取り戻すことができるのです。それを過払い金請求と呼びます。
2010年以前に貸金業者やクレジットカードでお金を借りていた人ならほとんどの人が該当するとも言われています。利息制限法の上限金利を超えて貸付を行っていた業者は、大手消費者金融を始め、有名な信販会社やクレジットカード会社も多数含まれています。
貸金業者を取り込むことでそのノウハウを吸収した銀行
銀行系カードローンの保証業務の多くは、消費者金融や信販会社などが務めています。これは、経営危機を乗り越えるために銀行の傘下へ入ったり提携したりした結果でもあるのですが、銀行はこれによって、貸金業者がこれまでに蓄積してきた個人向け融資のノウハウを吸収することに繋がったわけです。
このノウハウを生かすことにより、銀行が本格的に個人向け融資を手掛けるようになったのですね。
自行審査をするよりも保証会社に任せた方が効率的
傘下に入った消費者金融や提携する信販会社などを保証会社に据えて審査を行うことは、銀行にとってはとてもメリットの多い方法でもあります。
個人向けに特化した融資を行っていた貸金業者の方が多くの個人情報を持っている
例えば審査を行う際、指定信用情報機関に照会して個人の信用情報をチェックする必要があります。指定信用情報機関というのは、CICとJICC、それに全国銀行個人信用情報センターの3者です。
CICやJICCは多くの貸金業者が登録していますから、その情報を元に審査を行えます。
しかし銀行は全国銀行個人信用情報センターのみしか利用できません。つまり、保証会社に審査を依頼することで、全国銀行個人信用情報センター以外の情報を元に審査ができるため、効率的な審査を行うことができるようになるのです。
万が一の場合でも保証会社によって代位弁済を受けられる
また、保証業務を第三者へ丸投げしてしまうことで、万が一融資金額が回収不能に陥ってしまっても、その責任をかぶらなくて済むことになります。審査をして融資OKの判断を下すのは保証会社ですから、回収不能の責任も保証会社にあることになります。
もし利用者の返済が滞ってしまっても、返済の催促を行うのは保証会社が行わなければならず、しかも回収不能となった融資額は保証会社が銀行へ弁済するため、銀行側としては回収不能に伴うデメリットすらないのです。その代り、その後は保証会社が利用者に対して返済の督促を行うことになります。
銀行カードローンの審査が厳しいと言われるのは保証会社が慎重を期すため!
こうしたデメリットを回避するためにも、保証会社としては自社審査を行うよりも慎重に審査を行うようになります。そのため、「銀行カードローンの審査は厳しい」と言われるのです。
複数の銀行系カードローンへ申し込むなら保証会社の”ダブり”に注意!!
異なる銀行でも保証会社が同じ場合もあります
以上のように、銀行系カードローンはすべて保証会社を通して審査が行われることになるわけですが、実はここで注意していただきたいポイントがあります。
それは、保証会社の”ダブり”という問題です。例え銀行は違っていても、カードローンの審査を行う保証会社が同じである場合もあるのです。その場合、複数の銀行系カードローンへ申し込んでも審査に悪影響を及ぼす可能性があります。
ひとつの保証会社が何件ものカードローン審査を行っています
例えば、三菱UFJ銀行カードローン バンクイックの審査に落ちた後、ソニー銀行カードローンへ申し込みしたとしましょう。
しかし、実はこの3つの銀行カードローンの保証会社はアコムが行っています。つまり、すでにバンクイックの審査に落ちているのであれば、ソニー銀行カードローンも審査通過はほぼ不可能になる公算が大きいというわけです。複数の申し込みを行うなら、保証会社の関係もしっかりと見極めて申し込む必要があるのです。
主な銀行系カードローンと保証会社
では実際に、主な銀行系カードローンと審査を行う保証会社を挙げておきますので、ぜひ参考にしてみてください。
銀行系カードローン | 保証会社 |
---|---|
みずほ銀行カードローン | オリエントコーポレーション |
三菱UFJ銀行カードローン バンクイック | アコム |
三井住友銀行カードローン | SMBCコンシューマーファイナンス |
楽天銀行スーパーローン | セディナ |
イオン銀行カードローンBIG | オリックスクレジットorイオンクレジット |
ソニー銀行カードローン | アコム |
オリックス銀行カードローン | オリックス・クレジット株式会社または新生フィナンシャル株式会社 |
新生銀行カードローン レイク | 新生フィナンシャル |
保証会社が複数ある銀行カードローンにはどういう意味があるの?
上の表を見てお気付きかもしれませんが、銀行カードローンによっては保証会社を複数付けているものもあります。上の表で言えばイオン銀行カードローンやオリックス銀行カードローンなどがそれに該当しますよね。
この場合、マーケティングなど細かい事情もあるようですが、利用者側のメリットとしては仮に審査に落ちても、もう一方の保証会社で審査を受けることができるという点です。審査基準の異なる保証会社を複数付けておくことで、より多くの顧客を獲得しようという狙いもあるのです。
地銀も信金も信組も・・・必ず保証会社が審査します
ちなみに、保証会社による審査は大手銀行だけでなく、地銀でも信金でも行われています。これらの銀行系カードローンの中にも、複数の保証会社を付けているカードローンはたくさんありますし、中には3つ以上の保証会社で審査を行うカードローンも存在します。
地銀や信金など地方の金融機関のカードローンまで含めれば膨大な数のカードローンが存在しますが、保証業務を行う金融業者の数には限りがあるため、必ず”ダブり”が発生します。申し込みのし過ぎは、首を絞める結果にもなってしまいますから、十分に吟味した上で申し込むようにしたいものですね。