FXで得た利益を節税した上で税金申告するには?経費の範囲と節税のコツ
FX取引にかかった必要経費は「経費」として計上できる。FXの経費は利益から差し引きし「所得」とし年間20万円以上の利益があれば確定申告が必要。FXの経費は領収書やレシートが必要だが、通信費、パソコンのソフトウェア、書籍の購入費、セミナー参加費なども経費として認められる可能性が高い。FXで赤字が出た場合は三年間の繰り越し控除が認められる。またFXの利益が大きければ、法人設立するトレーダーも存在する。
この記事の目次
FXで利益を出したら「節税」に目を向けましょう。せっかくFXで利益が出ても、節税対策が不十分では、利益率が低くなるからです。実際にFXで大きな利益を上げている個人は、FX法人を立ち上げるなどして日々、節税に取り組んでいます。
また個人でも、FXで経費計上し「節税」できる項目はたくさんあります。本記事では、FXで認められる「経費と節税のコツ」を解説していきます。
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FXで税金の申告が必要なケース
FXで税金の申告が必要なのは「FXで年間20万円以上」の利益を得た人、また専業主婦の場合は「年38万円以上」の利益を得た人が該当します。
なお、いずれも経費を差し引いた利益なので、FX取引に掛かった手数料、通信費、書籍代、セミナー代のほか、パソコンの減価償却費なども計上した上で、一年に得た利益を算出してください。
FXのスプレッドは経費計上できない
ただし、スプレッドは経費として計上できません。スプレッドはすでに、利益や損失に含まれているので、経費として認められないからです(スプレッドについては、本記事の後半でも詳しく解説します。)
なお、FXの税金申告については、以下の記事を参考にしてください。
FX最大のコストは税金だった!節税対策が利益率アップのコツ!
FX最大のコストは、スプレッド幅や売買手数料ではありません。実は「税金」こそが、FX最大のコスト(=手数料)となります。なお獲得する利益が多いトレーダーの中には、法人を立ち上げて、節税に取り組む人もいます。
※ 法人の設立方法については、本記事後半で開設します。
FXは雑所得に分類される
FXは「雑所得」に分類されるため、得た利益の約20%を税金で納める必要があります。例えば年間100万円を得た場合、FXで得た利益の20%なので「20万円」を税金として納める流れとなります。
FXで所得隠しはできない!税務署はみんな知っている
「税金を払うのが嫌」という理由で、無申告のままでいるのはあまりにもリスクが大きいです。まず、FX会社や証券会社は「マイナンバー制度」によって税務署と連携しており、お金の流れはすべて税務署が把握しています。
このため、利益を隠そうとしても「100%税務署にバレる」上に、所得税を申告しなければ、延滞税や無申告加算税のほか、悪質なケースには重加算税が加算されます。つまり税金は最大のコスト(手数料)でありながら、正しく申告することで「最大の節税」に繋がるという…何とも不思議な構造になっています。
FXで「節税」を意識する場合は、経費だけでなく「正しく確定申告を行う」ことにも目を向けてください。
FXで経費として認められる物や項目
FX取引にも「必要経費」として認められる項目があります。例えば、FX取引で掛かった通信費、データの記録に使用した紙やインクなどの文具、トレード時間に応じたネット通信費、スマホの利用料なども経費計上できます。
以下、FXで経費として認められる物や項目をまとめてみました。
FXで経費として認められる(可能性が高い)物や項目
- FXの取引手数料、委託手数料など(※ スプレッドは除く)
- FXの記録、取引に必要だった事務用品・文具の購入費用
- パソコンやタブレット、スマートフォンの購入費用(減価償却も含まれる)
- FX取引に使用したインターネットの接続費・通信費用
- パソコンのモニターや関連機器
- パソコン周りの家具(デスクなど)
- 自動売買のソフトウェア費用
- VPS(バーチャルプライベートサーバー)のレンタル費用
- FXセミナーの参加費用、セミナー参加に掛かる旅費・交通費
- FX関連書籍・新聞・メルマガの購読費や購入費用
あまり知られていませんが、FXの依託手数料や取引手数料も経費として計上できます。例えば、運用の仕方を信託した場合の手数料も経費として認められます。
ただし、スプレッドについては「手数料」としての計上ができません。なぜなら、スプレッドは既に「利益や損失額」として計上されているため、経費として仕分けできないからです。
FXの赤字や損失は、3年間繰り越しできるので安心!
FXで赤字が出た場合は「最長3年間の繰り越し」が認められています。これは株式取引と同じ扱いであり、国税庁のページでも詳しく解説をしています。
運用がうまくいかず、赤字の状態が続いているようであれば、繰越の申請を行い「税負担が少なく」なるよう調整してください。
FXの経費で認められないもの
本記事冒頭でも説明しましたが、FXの経費として認められないものには、スプレッド手数料(前項を参照)があります。このほかにも、家賃、交際費など「取引と直接関係がない支払い」であり、経費として計上できません。
もちろん、自宅でトレードをしていれば「一部を職場」とする考えもありますが、専業トレーダーで無ければ、マンションや自宅の家賃が経費として認められる可能性は少ない(0%)です。FXの経費にできるかどうか、迷った時には「FX取引に絶対必要な経費かどうか」を目安にしてください。
経費を認めるのは「税務署」ですが、客観的に見て「FXに必要な支払いかどうか」が焦点になってきます。判断に迷う場合は、信頼出来る税理士や最寄りの税務署に相談してみてください。
FXの必要経費を計上するには領収書を保存しておくこと!
FXの必要経費を計上するには、必ず「領収書を保存」しておいてください。経費計上したくても、領収書や支払いの記録が無ければ、経費として認められません。
第三者が見て、経費として使ったことが分かる記録(領収書、レシート、カードの支払い明細など)をキチンと残し、エクセルや会計ソフト上に記録(日時なども入力)し、節税できるよう工夫をしてください。
FXの損失を3年間繰り越し控除する方法
FXで損失が続いている場合は、無理せず三年間の繰越控除を利用しましょう。なお、FXの損失を3年間繰り越し控除で「必要な書類と物」をまとめてみました。
FXの損失を3年間繰り越し控除に必要な物と書類(自分で用意するもの)
- 印鑑
- 給与所得、退職所得、公的年金などの源泉徴収票
- 特定口座年間取引報告書(FX会社が毎年1月頃に配布)
- 一年の取引の損益が計算できるもの(取引報告書など)
- 個人番号、本人確認書類
このほか、税務署でもらう書類をまとめておきます。
FXの損失を3年間繰り越し控除に必要な物(税務署でもらう書類)
- 申告書B(第一表・第二表)
- 申告書第三表(分離課税用)
- 先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書
- 申告書付表(先物取引に係る繰越損失用)
なお最寄りの税務署は、以下のページから確認できます。
もちろん、税務署にわざわざ出かけることや、郵送で書類を受けとる必要はありません。申請に必要な書類は、すべて国税庁ホームページ「確定申告特集」に掲載してあります。
ネット上のデータをそのままダウンロードし、印刷・提出を行ってください。なお、各FX会社や証券会社でも「繰り越し控除する方法」について詳しく紹介しています。FX口座の開設後、確定申告の時期が来るまでに「確定申告のお知らせ」やインフォメーションをチェックしておいてください。
※ 確定申告の方法は、次の項で詳しく紹介します。
FXで節税した後、税金を申告する方法
「FXの節税をした」後は、税金の申告(確定申告)をしましょう。確定申告の方法は簡単です。まず、記入をする「確定申告書」が四種類あるので、該当する書類を準備してください。
確定申告書の種類
申告書A | 申告所得は給与所得、公的年金、その他雑所得、配当所得、一時所得のみで、余地納税額の無い方が使用する書類。 |
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申告書B | 所得の書類に関係無く使用できる書類(※ 前年分から繰り越した損失額を本年分から差し引く方、変動所得や臨時所得について平均課税を選択する方は、申告書Bを使用すること)。 |
申告書Bと第三表 | 土地建物等の譲渡所得、株式等の譲渡所得、申告分離課税の上場株式等の配当所得、申告分離課税の先物取引の雑所得、山林所得や退職所得に使用する。 |
申告書Bと第四表 | 所得金額が赤字、所得金額から雑損控除額を控除すると赤字になる方、所得金額から繰越損失額を控除すると赤字になる方が使用する。 |
各書式は最寄りの税務署、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」からダウンロードしたものを印刷・記入すればOKです。
またICカードリーダライタをお持ちの方は、オンライン上で申請できるe-TAX(ネット申告)の利用が便利です。WEB上の画面に必要な項目を記入し、提出しましょう。
海外FX会社の取引を申告する方法
国内のFX業者を利用せず、海外のFX業者を利用中の方は、確定申告の方法が「やや複雑」です。
まず、利用している海外FX業者のサイトにログインし、年間の収支をチェックします。
次に所得から経費、損失などを確認し「年間20万円の利益」があれば、確定申告を行ってください。
もし、海外で複数のFX口座を保有している場合は、それぞれのサイトにログインし、年間の収支を合算「確定申告の条件」に該当しているのか確認しましょう。
FX法人を設立して、節税をする方法もアリ!
サラリーマンの方には難しいことですが、一般にお勤めではない個人の方、事業主の方は「FX法人」を設立し、節税をする裏技があります。
個人の場合、経費として認められるのは「FXに必要な経費」だけです。しかし法人の場合は「法人が事業に使ったものが経費」として認められるため、より経費計上できる範囲が大きくなります。経費計上できる部分が大きくなれば、個人の税負担は少なく、会社の税負担も少なく済むので一石二鳥です。
こうした方法は、すでに富裕層が実践していることで、個人の支払いを少なくするために、会社や法人を設立し「節税の工夫」をしています。FXの法人は、自分で立ち上げることもできますが、FX法人設立専門のサポート会社や税理士も存在します。法人化を検討されている方は、一度相談してみてはいかがでしょうか。
また書店やアマゾンでも、FXの法人設立の方法について関連書籍が購入できます。
FXで利益が出てもサラリーマンの法人設立は難しい
FXでたくさんの利益が出ても、サラリーマンが法人設立するのは難しいです。なぜなら、国内約80%の企業は、労働者の兼業を禁止しており、就業規則に違反した場合は副業を辞めるよう注意をするほか、最悪の場合「解雇」などの厳しい処置がとられます。
サラリーマンの方は、確定申告書や住民税の納付方法など、いくつか注意すべきポイントがあります。以下の記事を参考に、税金対策を行ってください。
まとめ|FXでも経費計上できる、確定申告は最大の節税法!
最後に「FXの経費と節税の仕組み」について、本記事の内容をまとめておきます。
FXの経費と節税の仕組み |
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☑ FXでは年間20万円以上の利益があれば、納税の義務が生じる |
☑ FX取引に必要な経費は、利益から差し引きし「所得」とする |
☑ スプレッド手数料は経費に含まれない |
☑ 税金はFX最大のコストだが、確定申告が最大の節税に繋がる |
☑ FXの経費は領収書やレシートが必要 |
☑ FXで赤字が出た場合は三年間の繰り越し控除が認められる |
☑ FXの利益が大きければ、法人を設立する選択肢もある |
FXの利益率をアップするためにも、正しい方法で経費を計上し、確定申告を行ってください。