FXで儲けて確定申告せず脱税したらバレるバレない?脱税した人の末路
この記事の目次
FXで儲けたにも関わらず、確定申告をしなければ「脱税」の罪に問われます。また悪質な場合で無くとも、無申告の場合には延滞税や無申告加算税、重加算税など、大きな「税のペナルティ」が発生します。
FX会社は税務署に対して、収益申告を行っているため「100%利益の状況」はバレてしまいます。FXの所得で「納税の義務」がある方は、きちんと税金を納めておいてください。本記事では、FXで納税の義務が発する条件や、FXで得た利益を申告せず「脱税した人の」末路についてお話します。
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FXの利益を確定申告する必要がある人
FXの利益を確定申告する必要がある人、申告の必要が無い人の条件を見て行きましょう。まず、仕事をしている人(主たる収入がある人)の課税ルールは、次の通りです。
仕事をしている人(主たる収入がある人)
区分 | 税法上の決まり | 納税の有無 |
---|---|---|
FXの収入は年間20万円以上 | 申告分離課税 | 納税が必要 |
FXの収入は年間20万円以下、またはマイナス(収入が無い) | なし | 納税の必要なし |
次に無職の方など「主たる仕事を持っていない人」の課税ルールをまとめてみました。
仕事をしていない人(主たる収入が無い人)
区分 | 税法上の決まり | 納税の有無 |
---|---|---|
年間20万円以上の収入がFXでのみ発生している | 申告分離課税 | 納税が必要 |
FXの収入は年間20万円以下、またはマイナス(収入が無い) | なし | 納税の必要なし |
専業主婦の方も同様に、FXで一定の利益があれば税申告が必要です。専業主婦がFXで儲けた場合の申告方法ですが、必要経費を差し引いた額が「基礎控除の38万円」を超えた場合に、確定申告を行ってください。
※ FXでの所得が年38万円を超えると配偶者控除が受けられ無くなり、夫の所得税も増えてしまうので注意しましょう。
FXで申告を忘れやすい項目
FXで利益の計上を忘れやすい、スワップポイント(スワップポイント)も忘れず申告しましょう。特に中長期取引を続けている方、外貨預金感覚でFXをしている方は、申告漏れに注意してください。
FX利益を申告しないと問われる罪と税のペナルティ
FXの利益を申告しないと、脱税の罪に問われます。「脱税」には、法人税法違反、所得税法違反、相続税法違反などの種類がありますが、FXの利益を申告しなかった場合は「所得税法違反」に該当します。
所得税法違反は10年以下の懲役、もしくは1,000万円以下の罰金に処せられます。罰金刑の場合、脱税額の約20%~30%を支払うほか、重加算税(本記事後半で解説)も発生するため、課せられる「税のペナルティ」は非常に大きなものとなります。
脱税の件数と追徴税の割合
2017年に国税庁が作成したレポート(2017年度査察白書)によると、2017年に査察で摘発された脱税事件は全163件、脱税の総額は約135億円に上りました。そのうち、所得税法違反に問われた件数は19件と少ないものの、税の無申告や所得隠しは刑事罰に問われています。
目安として、数千万~数億円規模の脱税があれば、所得税法違反によって起訴が行われます。また悪質な所得額氏の場合も同様に、本税額、重加算税、延滞税が過去に遡って課税されるほか、事業税、住民税も追徴されます。
このほか2018年~2019年には、FXや仮想通貨の所得を正しく申告しない人の割合は増加することが予測されます。一定の所得が見込まれる方は、早めに税の申告を行ってください。
FX利益を申告しないと100%税のペナルティが科される
前項からも分かる通り、利益を申告しない(無申告)ことで、罪に問われる確率はごく僅かです。ただし、利益を申告しなければ100%税のペナルティが課されます。このため「少額なら、所得税法違反に問われない」と高をくくっている人は要注意です。
FX口座の開設には、マイナンバーの登録が必要ですが、FXで得た利益は税務署に支払い調書が提出されているので「100%利益の内容」は把握されています。
マイナンバーを登録した方のうち、一定の利益があり「税申告をしない」人は即座に(個人が)特定され、無申告加算税などのペナルティが課されます。また悪質な場合には重課加算税が発生し、通常よりも多額の税金を納めることになります。
ちなみに無申告加算税は15%~20%、延滞税は年14.6%、悪質な所得隠しについては40%の重加算税が加算されるので覚えておきましょう。
確定申告をしなかった場合に課される税のペナルティ
無申告加算税 | 本来の税額が50万円以下の場合15%、50万円以上の場合は20%の税が課される。 |
---|---|
延滞税 | 納期限から2カ月までは年7.3%、それ以降は年14.6%の税が課される。 |
悪質な所得隠し | 申告漏れが「悪質」だと判断された場合、別途40%の税が課される。 |
通常の税に加えて、これだけの税が課されるのですから、税のペナルティは大きいことが分かります。また、税金を納めないことが、いかに「割に合わない無駄な行為」なのかが良く分かるでしょう。
FXで儲けて確定申告しない人の末路
FXで儲けても、確定申告しない人には最悪の結果が待ち構えています。確定申告しない人の末路を「段階別」にまとめてみました。
FXで儲けても確定申告しない人の末路
- 税務署から指摘が入る(お尋ね文書、呼び出し通知)
- 税のペナルティが発生
- 悪質な場合には重加算税が加算される
- 過去に遡って追徴金が発生
- 支払いが無ければ督促状が届く
- 差し押さえのための財産調査
- 差押通知書、差押予告書が届く
- 差し押さえの実行(強制執行)
各段階の内容を順に解説しましょう。
① 税務署から指摘が入る(お尋ね文書、呼び出し通知)
1月1日~12月31日までの期間に得た所得は、翌年2月16日から3月15日までに申告をする必要があります。所得があるにも関わらず「無申告」でいると、税務署から指摘が入ります。
税務署から連絡が入るのは、こんな時!
- 申告の書類に不備や誤りがあった
- 納税されていない場合の確認
- 納税の義務があるにも関わらず無申告の場合
- 所得状況が不明なため、税務調査が入る場合
FX会社は税務署に対し「支払い通知」を行っているため(納税の義務があるにも関わらず)申告していない人には税務調査の通知または、税務署への呼び出し通知が行われます。
② 税のペナルティが発生
無申告だった場合のペナルティですが、無申告加算税は15%、過少申告加算税は10%が掛かります。このほかにも、納税すべき期日までに税を納めていない場合には「年14.6%」の延滞税が課されます(※期限から2カ月までに納めれば年7.3%の延滞税で済む)。
ただし、修正申告のタイミングによって0%~40%までと幅があります。計算間違いや申告漏れに気付いたら一日も速く「確定申告」を行い、税金を完納してください。また、期限までに申告できなかった場合は電話で「支払いの意思」を示し、納税予定日について、約束を取り付けておきましょう。
③ 悪質な場合には重加算税が加算される
単なる計算ミスや申告漏れでは無く、明らかに「所得を隠そうとしていた」場合や申告漏れの額が大きい場合には「重加算税」が発生します。
④ 過去に遡って追徴金が発生
税のペナルティは今年度分だけで無く、申告漏れがあった過去にまでさかのぼり、追徴が行われます。このため無申告期間が長ければ、その分「課税額」は大きくなり、完納をするのが難しくなります。
⑤ 支払いが無ければ督促状が届く
税金の額が大きく、支払いが出来なければ、税務署から「督促状」が届きます。督促状を受け取った後は、財産調査が入るまでに完納を行ってください。
⑥ 差し押さえのための財産調査
督促状を発送してもなお、税金が納められない場合、差し押さえのための「財産調査」が実施されます。差し押さえの対象となるのは、所有する現金や不動産、自動車など、換金できそうなものはすべて「差し押さえ」の対象として記録されます。
⑦ 差押通知書、差押予告書が届く
差し押さえの実施前に、差し押さえ通知書と差押予告書が届きます。差押予告書が届くと程なくして、差し押さえが実行(強制執行)となります。
⑧ 差し押さえの実行(強制執行)
差し押さえの実行では、財産のほか、第三者に対して有する債権なども差し押さえの対象となります。なお差し押さえ後も完納されない場合は、財産が競売に掛けられるほか、債権については取り立てが実施されます。
いかがでしょうか? FXで所得を申告しなければ、大きな税のペナルティが発生するばかりか、納税できない状態が続くと、不動産や「大切な財産を全て失う結果」となります。
FXの脱税、所得隠しと申告漏れの違い
同じ脱税でも、意図的な所得隠しと計算間違いなどの申告漏れ(過少申告なども含む)では、法的解釈は異なります。
意図的に所得を隠した場合は、罪に問われます。ただ、単純な計算ミスや「所得を申告すべきか」知らず放置していた様なケースについては、脱税の範疇(はんちゅう)に含まれず、単なる申告漏れとして処理されるパターンが多いです。
FX会社と税務署は連携している
申告誤りについては過少申告加算税や無申告加算税が課されるほか、滞納期間が発生すると、別途「延滞税」が発生します。また、FXの利益を隠そうと思っても、隠し通すことはできません。なぜならFXの口座開設時には「マイナンバー」の登録を行っているため、所得の申告漏れが起こらないよう連携しているからです。
得た利益が少額であっても、FXの所得隠しは、すぐにバレてしまうことを覚えておきましょう。これはFXに限らず、株式投資、仮想通貨、その他、資産運用でも同じです。投資や資産運用には、必ずマイナンバーが紐付けられており「申告漏れが起こらない」仕組みが導入されています。
FXの利益には一律20.315%の税が課される
FXに課される税率は「一律20.315%」です。ただし、年20万円以下の雑所得(ざっしょとく)については申告不要です。年20万円を超える場合のみ、確定申告を行ってください。
なお、FXの利益は「申告分離課税」に分類されます。このため他の収入となる金融取引との損益合算が可能な上に、損失が出た場合は「3年間の繰り越し」が認められます。
こうした仕組みは株式と同じ扱いであり、仮想通貨にはない「優遇措置」なので覚えておきましょう。
FXの利益は雑所得に分類される
資産運用・資金運用に関わる「所得の種類」と、所得金額の計算方法をまとめてみました。
資産運用・資金運用に関わる「所得の種類」と所得金額の計算方法
区分 | 所得の内容 | 計算方法 |
---|---|---|
利子所得 | 公社債、預貯金の利子 | 収入金額=利子所得の金額 |
配当所得 | 株式、出資の配当金 | 収入金額-負債利子=配当所得の金額 |
不動産所得 | 地代や家賃、権利収入 | 収入金額-必要経費=不動産所得の金額 |
一時所得 | 懸賞などの償金、満期生命保険金など | {収入金額-必要経費-(特別控除額)}× 1/2=一時所得の金額 |
雑所得(雑収入) | FX、公的年金、原稿料、その他所得に当てはまらないもの | 1. 公的年金等の収入金額-公的年金等控除額 2. 1を除く雑所得の収入金額-必要経費 1と2の合計額が所得金額となる |
表の通りFXで得た利益は、雑所得(雑収入)に分類されます。雑所得は、個人で確定申告を行い「所得に応じた税」を納める必要があります。
FXの利益を確定申告する方法
FXで得た利益を「確定申告」する方法は、簡単です。まず利用する各FX会社、証券会社でも「確定申告の方法」についてアナウンスをしているほか、国税庁ホームページでも確定申告の方法が記載されています。
なお確定申告は専用の書類に記入する方法や、パソコンから直接申告書を作成できます。
また、クラウド会計ソフト(例:freee、MFクラウドなど)を利用中の方は、ガイダンスに沿って「FXの収益」を入力し、プリントアウトした書類をそのまま、最寄りの税務署に提出できます。
FXで利益を得た時には、申告漏れが無いよう正しく書類を作成・提出をしてください。
FXの利益で節税をする方法
FXで一番の節税策は「申告漏れが無いよう」にすることです。申告漏れが無ければ、大きな税のペナルティも発生しません。確定申告は「節税のため」だと思って取り組んでみてください。
FXで経費を計上し節税する方法
パソコン代やインターネットの接続費用も一部経費として計上できます。例えば、月々の電話代、プロバイダ料金のうち「FXに使用した割合」を計算・申告すれば、一部経費として認められるでしょう。
このほかパソコンの減価償却費、FXの知識を得るのに使用した書籍や新聞などの図書費用、セミナー受講費、FXの振込手数料なども経費として認められる可能性が高いです(分類が難しい場合は、最寄りの税務署に問い合わせてみてください)。
FXの利益を節税・税金申告する方法については、以下の記事を参考にしてください。
また、本記事前半で説明をした通り、損失が出た場合は3年間の繰り越しが認められます。支払いが出来ない、税を納めるのが難しい場合は「納税の義務」について再度確認を行ってください。
まとめ|FXで一番の節税法は確定申告すること!
FXで利益を得た時には、所得状況に応じて納税の義務が生じます。以下、本記事の内容をまとめてみました。
FXの利益と確定申告、脱税しないためのルール |
---|
☑ FXで得た所得は、雑所得(ざっしょとく)に分類される |
☑ FXで得た利益が一定額を超えると「納税の義務」が生じる |
☑ FXで年20万円以上の利益があれば、確定申告が必要 |
☑ 専業主婦でも、FXで年38万円以上の収益があれば納税義務が生じる |
☑ FXの利益を無申告のまま放っておくと、税のペナルティが発生する |
☑ 悪質な所得隠し、無申告は刑事罰に問われる |
FXで年20万円以上の利益が出た時には、必ず所得税の申告を行ってください。無申告については重加算税や延滞税をはじめ、悪質なケースについては起訴や財産の差し押さえが実行されます。
確定申告は「いちばんの節税法」だと考え、正しい方法で利益を申告しましょう。
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