FXで為替レートが変動する理由や価格が決まる仕組みを解説
この記事の目次
FXの為替レートを見ていると、ドルや円、ユーロなどの通貨が「変動」していることが分かります。それではなぜ、FXの為替レートは変動するのでしょうか?
本記事では「為替レートが変動する仕組み」と「価格が決まる仕組み」について解説します。
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為替レートとは?
為替レート(正式名称:外国為替相場)は、二種類の異なる通貨が「いくらで交換できるのか」交換比率を示しています。
例えば、外貨両替所に出かけた際、入り口に「1ドル=109円」と書かれていたとしましょう。先程説明した通り、為替レートとは「交換比率」のことです。このため「ドル/円の為替レートは109円」と言い換えることができます。
ただ、FX取引で「為替レート」と表記する場合は、インターバンク市場の為替レートを指しているので、覚えておきましょう。
インターバンク市場とは?
金融機関の間で、短期資金の貸借が行われるマーケットを「インターバンク市場」と呼んでいます。インターバンク市場の取引は「銀行に限定」されており、個人投資家や機関投資家など(金融機関以外)は参加できません。
なお、外貨の「為替レート」は銀行、トラベラーズチェックの交換所、インターバンク市場など、それぞれの場所で異なるレートが使用されています。
FXの為替レートは需要と供給で変動する
為替レートは「需要と供給」によって変動します。例えば、アメリカの株式市場が急落したとします。
すると、「他の安全な国の外貨が欲しい」という理由で、日本円に買いが殺到し、為替レートは「円高ドル安」へと推移します。
このように社会情勢や投資家の心理によって、人気の高い通貨(=需要が高い)は価値が高くなり、人気の低い通貨は価値が低くなるため「為替レート」は日々変動を繰り返しています。
ただ、上記の理由は表向きのもので、日本株などのリスク資産を持つ海外投資家達がアメリカ株式市場での急落を受けて日本市場など他の市場に影響が及ぶのを警戒するために株を利益確定し、投機目的や為替ヘッジ目的で買い建てていたドル円などを決済するため円高になるのです。
各国通貨の為替レートは「ファンダメンタルズ」によって価値が決まる
みなさんは「ファンダメンタルズ」という言葉をご存じでしょうか? ファンダメンタルズ(fundamentals)にはもともと「基本・根本的」といった意味があり、FXや国際情勢におけるファンダメンタルズとは、国や企業などの「経済状況」を示しています。
為替の「需要と供給」は世界情勢と密接に関係しており、経済の基礎要因(=ファンダメンタルズ、経済指標)、戦争やテロなどの世界情勢、テクニカル要因(=チャートの変動パターン)投機筋(=投資家)によって大きな影響を受けます。
このほかにも、各国の景気や金利状況、貿易収支、インフレ率によって、通貨の「相対的な力関係」が決定され、より強い国に買いが集中し「通貨の価値が決まる」という仕組みです。
為替レートだけに限らず、株式市場、債券市場、仮想通貨取引などもすべて、ファンダメンタルズに影響を受け、価格が変動しています。
ファンダメンタルズ要因の種類
為替レートに影響を与える「ファンダメンタルズ」は、景気の動向/金利や物価/国際収支/為替の介入など、四つの要因によって構成されています。
ファンダメンタルズの種類と、影響を与える指標や出来事
区分 | 影響を与える指標や出来事 |
---|---|
1. 景気の動向 | アメリカ雇用統計/GDP(国内総生産) |
2. 金利や物価 | 中央銀行の金利引上げ/FOMC(連邦公開市場委員会) |
3. 国際収支 | 各国の資本収支/貿易収支など |
4. 為替の介入 | 各国の金融当局による為替の介入 |
1~4の内容について、順に説明しましょう。
1. 景気の動向
景気の良い国には、資本や資産が大量に流入します。このため、株価や金利の上昇を見込み、通貨が多く買われるようになります。
また、景気の動向は、世界経済の中心である「アメリカ雇用統計」や国内総生産(GDP)の発表内容によって影響を受けた後、投資家心理なども加わり、為替の価格が決定します。
2. 金利や物価
基本的に「金利が高い国の通貨」には、買いが集中します。このため、世界経済の中心を担う、FOMC(連邦公開市場委員会、金融政策の最高意思決定機関)が決定した方針や議事録の内容は、為替の変動に大きな影響を与えます。
3. 国際収支
国際収支とは、一国の資金やサービスの流れを示した指標であり、所得収支、貿易収支、サービス収支、経常移転収支(政府開発援助のうち、医薬品など現物援助を指している)など「経済収支」によって評価されています。
国の経常収支が黒字になると、外貨を自国の通貨に交換するために(自国の)通貨価値が高まる仕組みです。
4. 為替の介入
為替の介入とは、為替の急激な変動を避けるため、各国の金融当局が通貨を売買し、為替の安定を図る行為を指します。例えば日本の場合は、財務大臣の命によって日本銀行が為替介入を行い、通貨安定の実務を遂行しています。
このように1~4の要素が為替の価値を決定しますが、このほかにも、テクニカル要因、投機的要素、地政学リスクも為替の価格を決定する「重要な要素」となります。
テクニカル要素とは
テクニカル分析とは、相場の方向性を分析することです。テクニカル要素とは、その「相場の方向性に関わる要素」を意味します。
通常FXのトレードでは、市場参加者の心理や思惑を推測しながら取引が行われます(株取引なども同じです)。このため、投資家のテクニカル要素によって、為替の価格が変動することがあります。
例えば、サポートラインとレジスタンスラインは投資家の売買を左右する重要な指標です。サポートラインと、レジスタンスラインの意味(役割)は次の通りです。
サポートラインとレジスタンスラインの役割
サポートライン(下値支持線) | 一定期間の安値を結んだサポートラインのこと。また、移動平均や一目均衡表もサポートラインと言う。 |
---|---|
レジスタンスライン(上値抵抗線) | 一定期間の高値を結んだラインを結んだもの。チャートの天井圏において抵抗している価格帯を指す。 |
投資家がマーケットで売買する際の「参考水準」としているのが、このサポートライン(支持線)やレジスタンスライン(抵抗線)です。
為替レートが、サポートラインとレジスタンスラインを突破すると、飛びつき買いや損切りが加速し、一気に価格が上昇(または下落)します。このように投資家の「テクニカル要素と為替の価格」は、切っても切れない関係にあります。
投機的要素とは
ヘッジファンドや機関投資家は、膨大な資金を投じて取引を行います。彼らの取引は「短期的に利ざやを稼ぐ」といった手法が多く、取引量が多いことから、為替レートを動かす要因となっています。こうした動きをFXでは「投機的要素」と呼んでいます。
地政学リスクとは
地政学リスクとは、特定の地域が抱える社会的不安が地理的な要素によって「世界経済全体を不透明にする」ことを意味します。
例えば、特定の地域で情勢が不安定になると「安定している、他国の通貨が欲しい」という心理が働きます。このため情勢が安定しており、戦争などのない国(例:スイスなど)の通貨に買いが集まり、為替レートが高くなります。
なお、FXの価格変動にも関係する「各国の経済指標発表」の時期には、価格の変動に備えるようにしましょう。
各国の経済指標発表(一例)
雇用統計/消費者物価指数/小売売上高/卸売物価指数/生産者輸入価格/政策金利/住宅価格/鉱工業生産指数/住宅価格指数/国際収支(貿易収支・経常収支)
イベントについては、FX業者が発表する「経済指標カレンダー」や経済誌、金融・経済関連のサイトでも最新情報がチェックできます。
FXの「スプレッド」とは売値と買値の差
FXの価格は、スプレッドによっても決定されます。スプレッド(Spread)とは、通貨ペアの売値(Ask)と買値(Bid)の差を意味しています。
例えば「ドル/円」の為替レートが「120.00~120.05円」と表示されていた場合「売値が120円、買値が120.05円」という意味であり「0.05円」分のスプレッドはFX会社の取り分となります。
FX会社はスプレッドの利益を得て、売り手と買い手をマッチングさせているのですが「スプレッドの数値」は、各FX業者によって設定が異なります。例えば、スプレッドの設定が0.2銭の業者もあれば、別の業者はスプレッド4銭にするなど、FX業者間の差は大きいです。
このため、FXトレードを行うには【為替レート/取引手数料/スプレッドの設定】の3点を見て取引を行う必要があります。またFX業者(または証券会社など)を選ぶ際には、手数料が安く、スプレッドの小さい業者を選ぶのが「より賢い方法」です。
まとめ|FXの為替レートは需給関係で決定する
最後に、FX為替レートが変動する理由、為替価格が決まる理由、スプレッドの意味についてまとめておきます。
FX為替レートが変動する理由、為替価格が決まる理由
- 為替レートは、投資家の需要と供給で決定する
- 買いの集まる通貨は、価値が高くなる
- ファンダメンタルズとは、国の経済状況のこと
- 投機的要素、地政学リスクも価格に影響する
- スプレッドは、通貨の「売り」と「買い」の差
- 業者選びは、手数料とスプレッドを見て決めるべし
このように「FXの為替レート」は、複雑な要因が絡み合って変動します。日頃からニュースで世界情勢に目を通すのはもちろん、チャートの先を読んでトレードするようにしましょう。
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